VOICE

修了者の声

VCPを受講した修了者から、受講のきっかけやVCPで得たこと、その後の業務での活用などをご寄稿いただきました。

体系的な学びとネットワーク構築が魅力
VOICE 01
住友商事株式会社
ライフスタイル事業本部
ヘルスケア事業本部
市村和哉さん

受講のきっかけ

直接のきっかけは、VCP講師陣の1人である岩嵜博論教授から本プログラムが開講となる旨、2022年秋にお知らせいただいた事でした。岩嵜教授には2022年夏、私が所属しているライフスタイル事業本部という本部向けに「Future Insightワークショップ」を数回開催いただいており、その中で触れた「パーパス/課題発見/デザイン思考」等のキーワードに興味が出ていた頃のVCPのお知らせだったので、まずはVCP主催のオンライン説明会に参加しました。

商社勤務の50歳のおじさんが35万円もの費用をかけて毎週土曜日に計60時間も通う価値があるものなのか、説明会に参加しても確信は持てなかったのですが、見切り発車で申込み、受講許可の合格通知を見た時は、嬉しさとワクワクと不安を感じたことを覚えています。

なお、申込みに際しては自費で通うことを前提に申込みましたが、当時の業務内容に合った外部研修であると上長に認められたので、業務として社費による受講となりました。

VCPで得たこと、その後の活用

アート思考・デザイン思考のプロセスを体系的に理解・体得できた事はもちろんですが、物事を本質的にとらえることの重要性を学ぶことができたと思います。世の中にあるキャッチコピーや、プロダクトのデザインなど、今までは特に違和感を持たずにそのまま受け止めていた事が、受講を経て、「なぜそういう形になったのか」「その背景にあるものは何なのか」「制作者が表現したいことは何なのか」など、いちいち立ち止まって考える癖が付いたと思います。この癖は、前半パートの「創造的思考力」の基礎となる「観察力」「批判力」「構想力」を習得するためのワークショップで得たものです。

また、プロトタイプの意味と重要性についても学ぶことができました。受講前までは、プロトタイプとはプロダクト系のデザイナーが新たなプロダクトを創造する工程で作り出す「立派なプロトタイプ」のみをイメージしていましたが、ダンボールで作ったような簡易な試作品も重要なプロトタイプであるし、ユーザーエクスペリエンスの設計において、生活者の利用シーンを簡易に再現してみることも重要なプロトタイプであることを、後半パートと最終日のプレゼンテーションを通じて理解することが出来ました。

また、VCP修了後、2023年4月に私が所属しているライフスタイル事業本部内において「未来洞察ラボ」というラボが立ち上がり、私は専従で同ラボの運営に携わっているのですが、本部所属員200名への「創造的思考力」のインストールに取り組み中です。インストールの具体的な取り組みの1つとして、武蔵野美術大学にとっても当社にとっても初の試みとなる「VCP for Biz」という新プログラムを2023年度下期に導入することになりました。

当本部向けにカスタマイズした内容ですので、通常のVCPと比較すると、新規事業創出に比重を置いた内容になっているが特長ですが、2023年度末にどのような事業アイディアが創出されるか、今から楽しみです。

最後に、同期や講師陣とのネットワーク構築もVCPを通じて得たものであり、私にとっての重要な財産となっています。VCPに参加するまで全く知らなかった「カンヌライオンズ」という国際的なクリエイティビティのフェスティバルに2023年6月に視察参加できたのも、同期のネットワークがきっかけでしたし、前述のVCP for Bizの導入も講師陣とのネットワークがきっかけでした。

受講を検討されている方へ

説明し辛い・得体の知れない「アート思考・デザイン思考」を体系的に学ぶことが出来るのがVCPだと思います。毎回、インプットだけでなくアウトプットもすることで「アート&デザイン」を体得できるプログラム設計となっていて、全く飽きることなく10週連続で市ヶ谷に通うことが出来ました。

美術大学のプログラムということで、学生時代に美術の授業が苦手だったという人にとっては興味より苦手意識が勝り、受講を躊躇する気持ちも分かりますが、手を動かすのは不得意でも、物事の本質を捉えること・考えることに楽しさを感じることができる方にはオススメのプログラムです。もちろん、学生時代に美術が好きだったという方にも超オススメです。

また、講座後半のグループワークの際に、グループ毎にメンターと呼ばれる現役のデザイナーやアーティストが投入されるのがVCPの特徴の一つだと思うのですが、メンターという「異物」を投入することで、新しい視座と発見を得ることも学べました。

これらの学ぶこと自体のメリットだけでなく、年齢も性別も職業も異なる約30名の同期との良き出会いも含めて、私にとってはNet Promoter Scoreが10点のプログラムだったと派遣元の組織にも報告しています。

得たことは「自分の感じた違和感を大切にする」というマインドセット
VOICE 02
株式会社日本経済新聞社
金山亞裕子さん

受講のきっかけ

受講のきっかけは、会社の研修の一環として受講しないかという声がけが社内であり、美大の社会人向けのプログラムでは一体何をするのだろうか、と興味をもったことです。普段から業務で広告関連のクリエイターの方々と関わる機会があるため、クリエイティビティの大切さを耳にする機会が多く、自分自身も体系的に学ぶ必要性を感じていました。とはいえ、どこから学び始めればいいのかわからなかったので、本プログラムの受講はいいきっかけになるのでは、という期待がありました。

VCPで得たこと、その後の活用

VCPのプログラムを通して得たことは「自分の感じた違和感を大切にする」というマインドセットです。

本プログラムは「物事の本質を多角的に見定める、観る力をつける」という美大の教育の本質を学び、新規事業創出のための基礎力をつけることを目的に設計されています。受講するまでは美大=アート作品制作をする場所、というぼんやりとしたイメージしかなかったのですが、違った側面があることを知ることができました。

最初の3回は午前中に現代美術史や企業のパーパスブランディング、アート思考とデザイン思考など幅広く講義を受け、午後からは、出されたお題に対して実際に個人で作品制作を行い、先生やクラスメイト達から講評を受けるという内容でした。そもそも作品制作や、それに対して講評を受ける体験をしたことがなかったので、とても新鮮でした。制作される作品が人によって全く違い、クラスメイト達の作品を見ることが楽しかったです。

30名のクラスメイトは年代も20代~50代まで幅広く、所属会社もバラバラでした。そんなクラスメイト達と作品制作とそれぞれの講評を通して、フラットな関係性を築けていったことが印象的でした。

後半では主にグループワーク中心で、5人ほどのグループで新規事業創出するための課題発見から実際のプロトタイプ制作とプレゼンテーションを行いました。前半の講評を通して、自分とは違う作品を作るクラスメイトに対してお互いに肩書や年齢を見るのではなく、1人の人としてリスペクトを持って意見を聞く、というマインドセットが自然と出来上がっているように感じました。

本プログラムを受けるまでは、自分の感じる違和感や意見をあまり重要視せず、周りに伝えることもしてこなかったのですが、そもそも違和感に気が付く意識をすること、声にだして伝えてみることの大切さや、素直に自分が抱いた感想が実は新規事業を考える際にも起点になり得ることを実感することができました。

また講義を通して、これまで現代アートに対して漠然と持っていた苦手意識がなくなり、美術館に行った時の体験が変化したことも得たことです。

受講を検討されている方へ

ビジネスにおいて新しい価値を世の中に対して作っていくことが求められることが多くあり、新しい価値・サービスを作るには、身近な自分や周囲が抱えている違和感に気が付くことや、それを概念化・言語化する力が必要になると思います。

本プログラムは、それらの力を得るために美大ならではのアプローチでカリキュラムが組まれているため、私自身は新鮮な気持ちで受講ができました。また、受講後にクラスメイトと仕事にてご一緒する機会もでき、人脈が広がりました。普段の仕事では、なかなか出会わない人たちに出会えることも本プログラムの魅力であると思います。