伊豆大島からの期待
 
					 
						伊豆大島は富士箱根伊豆国立公園に属し、日本ジオパークにも認定された独特な景観を多く有した自然豊かな島。島の約97%が自然公園法で守られ、火山が描き出す起伏や、ヤブツバキをはじめ季節ごとに表情を変える多様な植物たちの森が広がります。ここでは、海や風、光の移ろいが暮らしのリズムと重なり合い、都市では得られない感覚が日常に息づいています。守られた自然と共に過ごす時間は、発想を解きほぐし、新しい視点を生むきっかけになります。それらは観光やサービスづくりにも、深く響く“源泉”となるはずです。
 
					 
						そんな島の中で、独特な文化や風習も生まれました。例えば、「アンコさん」は、かつての伊豆大島の暮らしを支えた女性たちの総称として知られます。火山島ゆえに湧水も川もない島では、水は命そのもの。朝と夕、わずかな水源や海辺の共同井戸「ハマンカー」から水を運び入れることが、女性にとって最も大切な日課でした。男たちが廻船や漁に出ている間、畑仕事や薪運び、港での荷揚げなど、日々の重労働をしなやかにこなしながら生き抜いた姿は、変化や困難に適応する“レジリエンス”の象徴。今を生きる私たちに、たくましくも優しい生き方のヒントを与えてくれます。
 
					 
						現地でのワークショップイメージ
伊豆大島は、他の地域と同様に高齢化や人口減少、産業衰退といった課題を抱えています。しかし、それらは新しい挑戦のきっかけでもあります。最近では、主にIターンやUターン移住者が空き家を活用してカフェや宿、工房や地場食材を活かした飲食店など、自分らしいスタイルで事業を営む動きがが生まれています。ここでは、多様な価値観と生き方が交差し、新たな文化や産業が芽吹いています。課題を資源に変える試みは、訪れる人にも「共に未来をつくる」実感をもたらします。この島は、創造性とコミュニティの力が交わる、未来志向の実践の場。訪れる人にとっても、新しい企画や地域連携のヒントが得られるフィールドです。

